侵襲生体管理部門

重症患者では特定の臓器だけをターゲットにして治療を行うことはできません。我々の施設における集中治療の特徴は2つあります。ひとつめは体の隅から隅まで一つのチームで集中治療を行うことであります。重症頭部外傷や心肺蘇生後の患者に対しては、頭蓋内圧、脳酸素代謝、脳生理機能モニターをはじめとする様々なNeuro-monitoringを駆使しつつ、低体温などの内科的治療に外科的治療を組み合わせたNeuro-Intensive Careを行っています。体幹や四肢外傷、内因性疾患、熱傷、中毒患者の治療に関しても同様です。同じチーム内のそれぞれのサブスペシャリティーをもつスタッフを中心に、呼吸・循環管理、臓器不全の治療など、内科的治療からECMOや血液浄化などの特殊医療機器を使用した治療、そして外科的治療を幅広く組み合わせながら集中治療を行っています。

そしてもうひとつの大きな特徴が、初療から集中治療まで自己完結型の治療を行っていることであります。初療での初期治療により安定化をはかられた患者は、同じチームにより途切れることなく全身状態が安定化するまで集中治療が継続されます。重症患者の集中治療では治療対象となる臓器が多いことのみならず、患者の状態が刻々と、かつ劇的に変化していきます。悪化したポイントを的確に捉え、機を失することなく外科的治療などの積極的治療へと繋げ、必要であればこれを繰り返します。この様な挑戦的診療を行うことは診療スタッフにとっては負担の多い仕事となりますが、従来の方法では救命困難と考えられる症例を救命することができたときの喜びは何にも変えがたいものであり、積極的治療なしには為し得ないでしょう。

また、当施設は集中治療専門医研修認定施設の認定を受けています。当施設において修練を行うことによって集中治療専門医受験資格を得ることができます。